
こんにちは、Ken-D(けんでぃー)です。
夜中、子どもが突然「ケンケン!」「オットセイの鳴き声」のような咳をし始めた…こんな経験はありますか?いつもと違う咳に、びっくりしてしまう保護者の方も多いと思います。
このような咳の原因のひとつが、クループ症候群です。
クループは子どもによくみられる病気ですが、喉の腫れが強くなると、呼吸困難や窒息など重篤な状態に関わる可能性があります。
今回は、小児科医の視点から、クループ症候群の症状やおうちでの対応、病院を受診する目安について解説します。
1.クループ症候群ってどんな病気?
クループ症候群は、パラインフルエンザウイルスやインフルエンザウイルス、RSウイルスなどのウイルス感染によって、声門(声を出すところ)の下部に粘膜浮腫が起こり、炎症性気道狭窄をきたす病気(急性喉頭気管気管支炎)です。
子どもは大人に比べて空気の通り道が狭いため、少し腫れるだけでも空気が通りにくくなり、特徴的な咳や呼吸の音が出ることがあります。
特に多いのは、乳幼児期の子どもです。
こんな症状が特徴です
- 犬吠様咳嗽(けんばいようがいそう):犬やオットセイの鳴き声のような、乾いた甲高い咳
- 嗄声(させい):声がかすれる、いつもと違う声になる
- 吸気性喘鳴(きゅうきせいぜんめい):息を吸うときに「ヒューヒュー」「ゼーゼー」と音がする
- 発熱や鼻水など、かぜの症状
クループでは、日中は比較的元気でも、夜間に咳や呼吸の症状が急に悪化することがあります。
2.クループ症候群はうつるの?
クループ症候群そのものが直接うつるというより、原因となるウイルスが、咳やくしゃみなどを介して広がります。
そのため、手洗いや換気、咳エチケットなど、基本的な感染対策が大切です。
3.おうちでできる対応は?
症状が軽く、呼吸が落ち着いている場合は、次のことを意識してみてください。
① まずは子どもを安心させる
咳や呼吸の音に驚いて泣いてしまうと、呼吸の症状がさらに強くなることがあります。
抱っこをしたり、優しく声をかけたりして、できるだけ落ち着いて過ごせるようにしましょう。
② 呼吸の様子をよく観察する
咳の音だけでなく、次の点も確認してください。
- 息を吸うときに、喉のあたりから音がしていないか
- 息をするたびに、胸やみぞおちがへこんでいないか
- 顔色や唇の色が悪くなっていないか
- 水分がとれているか、普段どおり反応できているか
③ 水分は、無理のない範囲で
呼吸が落ち着いていて、本人が飲めるようなら、少しずつ水分を与えてください。
呼吸が苦しそうなときや、飲み込むのが難しそうなときは、無理に飲ませず受診を優先しましょう。
なお、熱いお湯の蒸気を吸わせる方法は、やけどの危険があり、症状を改善する効果も十分に示されていません。
4.病院を受診する目安は?
クループ症候群では、咳の激しさだけでなく、呼吸が苦しくなっていないかが重要です。
早めに医療機関へ相談したい場合
- オットセイのような咳が続いている
- 声がかすれているうえに、息を吸うときに音がする
- 咳や呼吸の症状が夜間に悪化している
- 水分があまりとれない、元気がいつもよりない
- 何度もクループのような症状を繰り返している
特に、安静にしているときにも息を吸う音が聞こえる場合は、注意が必要です。夜間でも、速やかに医療機関を受診してください。
すぐに救急車を呼んでほしいサイン
次のような症状がある場合は、呼吸が大きく妨げられている可能性があります。
- 息苦しそうで、胸やみぞおちが大きくへこむ
- 唇や顔色が青白い、紫色になっている
- ぐったりしている、反応が悪い
- 呼吸が弱くなっている、呼吸が止まりそうに見える
- 息が苦しくて、声を出すことや水分を飲み込むことが難しい
このような場合は、迷わず119番に連絡してください。
また、よだれが急に増えて飲み込めない、前かがみで苦しそうにしている(sniffing position)などの場合も、クループ以外の緊急性の高い病気(急性喉頭蓋炎)が隠れていることがあります。無理に口の中をのぞこうとせず、救急対応を受けてください。
5.病院ではどんな治療をするの?
クループ症候群は、症状や呼吸の状態を確認して診断することが多く、典型的な場合は必ずしも血液検査や画像検査が必要になるわけではありません。
治療は症状の強さに応じて行います。
アドレナリン吸入
呼吸が苦しい場合には、医療機関でアドレナリンの吸入を行うことがあります。気道の腫れによる症状を一時的に改善させる治療です。
症状によっては、吸入後も再び悪化しないか、医療機関で経過を観察する必要があります。なお、アドレナリン自体は劇薬なので、自宅に持って帰って吸入することはできません。
ステロイド薬
喉の腫れを抑えるために、ステロイド薬(デカドロンエリキシルなど)を使用することがあります。内服薬などが用いられ、症状の改善や悪化の予防が期待できます。
抗菌薬は必要?
クループ症候群の多くはウイルス感染が原因です。そのため、通常のクループに抗菌薬(抗生物質)は必要ありません。
ただし、細菌感染など別の病気が疑われる場合は、異なる治療が必要になることがあります。
6.どのくらいで治るの?
多くの場合、症状は数日から1週間程度で改善していきます。
ただし、症状が強くなるタイミングや回復までの期間には個人差があります。
一度よくなっても、夜間に咳や呼吸の症状が再び悪化することがあります。いったん落ち着いたからといって油断せず、呼吸の様子を観察しましょう。
また、典型的なクループとは異なる症状がある場合や、何度も繰り返す場合には、ほかの病気がないか医師に相談してください。
まとめ
クループ症候群は、子どもによくみられる病気のひとつです。
- オットセイのような咳や、かすれた声が特徴
- 夜間に症状が急に悪化することがある
- 泣かせず、落ち着いて過ごせるようにする
- 安静時にも息を吸う音がする場合は、速やかに受診する
- 顔色不良、強い呼吸困難、意識や反応の異常があれば119番へ
咳の音に驚くこともあると思いますが、大切なのは、咳の音だけでなく「呼吸が苦しくないか」を見ることです。
Ken-Dのつぶやき 🐶
夜中に突然、聞いたことのないような咳が始まると、親御さんも不安になりますよね。
小児科医として特に気にしているのは、咳の大きさよりも、呼吸の状態です。
「息を吸うときに音がする」「胸がへこむ」「顔色が悪い」――こうしたサインがあれば、夜間でも遠慮せずに医療機関へ相談してください。
お子さんのいつもと違う様子に気づけることは、とても大切です。
この記事が、いざというときの安心につながればうれしいです。
※この記事は一般的な情報提供を目的としています。接種の可否や注意事項については、医療機関でご確認ください。


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