
こんにちは、小児科医のKen-D(けんでぃー)です。
このところなんだかんだで忙しく、久しぶりの投稿になってしまいました。。
「うちの子は麻疹ではなさそうですか?」
「ニュースをみて心配になりました」
そんな声を最近よく聞きます。
麻疹は感染力がとても強いウイルス感染症です。でも同時に、しっかり予防できる病気でもあります。
今日は「麻疹(はしか)」についてお話ししていきましょう。
麻疹ってどんな病気?
麻疹(ましん=いわゆる”はしか”)は麻疹ウイルスに初めて感染したときに出てくる発熱や発疹を伴う病気、とされています。
数年前まで、日本においては年間数万人の麻疹罹患者がいました。そのうち、年間数十人が麻疹によって命を落とすこともありました。
現在では、麻疹ワクチン(MRワクチンの中に含まれています)の2回接種法が普及しており、麻疹罹患者は激減しました。ワクチンの徹底により、麻疹は排除撲滅することが出来ます。
麻疹に罹患してしまうと、まず感染後10~12日後に38℃以上の発熱、咳、眼が充血する、目ヤニが出る、喉が痛くなる、などの症状が出現します。熱が出て3日目ごろに、口の中を見ると頬の裏にコプリック斑という特徴的な発疹がみられます。この時に一旦熱が下がります。しかし、また急激に熱が出て、40℃前後の高熱が出ます。その熱とともに発疹がでてきます。最初は顔や耳の裏から、次第に体幹部や腕・足に広がってきます。だんだんと一つ一つの発疹が合わさってきて、地図のように融合してきます。発疹が5日程続くとだんだん消えていき、熱も下がり始めます。そして色素沈着を残して消えていきます。
麻疹は典型的な経過ではこのような経過をたどります。最初は、「普通のカゼかなあ」と思っていて、熱が下がって安心していたら、また高熱になって発疹が出てくる、という特徴的な経過になります。
15%に中耳炎、約6%に肺炎、0.2%程度で脳炎という脳の炎症をきたすことが知られています。命にかかわってしまうのは、やはり肺炎や脳炎といった病気に繋がってしまったときです。
また、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)という、麻疹にかかってから、数年後に発症する脳炎もあります。こちらは、麻疹に罹患して、中枢神経系に長年感染をしている状態が続き、約7年程して行動異常・知能低下などから発見されるものです。
治療法はあるか?
麻疹には、特別な治療法はありません。あくまでも対症療法ということになってきます。重症になり、口からごはんや水分が摂れない、という場合は入院で点滴から補液をします。また、肺炎や中耳炎になると、細菌(ウイルスではなく)の感染も合併することがあるので、その場合には抗生剤を使用することもあります。脳炎になってしまった場合も、特別な治療というものではなく、ステロイドパルス療法や免疫グロブリン療法といった、少しでも進行しないようにする治療しかありません。
麻疹が増えていると言っているが、心配した方がいい?
ここまでの情報だけでも、かかってしまうととても怖い病気だとわかりますよね。そして特別な治療法がない。もっとも大切なのは、予防が大事です。
日本の定期接種(MRワクチン;麻疹と風疹が一緒になっています)は、
①1歳 ②小学校入学前(5歳)
の2回接種することになっており、基本的にはその2回接種がもっとも重要です。
基本的には、周りに麻疹罹患者がいない状況で、かつワクチン2回接種しているのであれば、心配しすぎる必要はありません。まずは、母子手帳を確認しましょう。不明な場合はかかりつけの小児科医にご相談ください。
Ken-Dのひとこと
感染症のニュースは、たちまち不安を強くしますよね。
しかし大切なのは、まずは「知ること」。
知らないから、「怖い」に繋がります。簡単でいいので、どんな感染症なのか、かかるとどうなるか、治療法はあるか、そして今できることが何か、を一度知っておくだけで、安心につながります。そして過剰に人と接触するのを拒んだり、過剰に心配しすぎることを防ぐことができます。
そのために、このブログを少しでも役に立ててみてくださいね。それではまた会いましょう。
*この記事は一般的な情報提供を目的としています。流行状況や個別の判断についてはかかりつけ医にご相談ください。

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